宅食は、自宅に直接お弁当や食材を届けてくれるサービスです。
外出や料理をすることが難しい高齢者にとってはかなりありがたいサービスで、需要は年々増加しています。
実際、私は都内で訪問看護師をしていますが、高齢利用者の半数は宅食サービスを利用しています。
昨今の宅食はバリエーションも豊富で、以前から言われていた「味が飽きる」という点を払拭できつつあるのも背景としてあるでしょう。
このように、宅食サービスを導入すると良いことがたくさんある一方、実は気をつけなければならないことがあります。
この点を押さえておかないと、逆に不健康な生活になってしまったり足腰が弱くなってしまう恐れもあります。
この記事では、「高齢者が宅食サービスを導入する時に気をつけること」を3選ご紹介してまいります。
この記事でわかること
・高齢者が宅食サービスを導入するときに気をつけることと選ぶときのポイント
・訪問看護師がオススメする宅食サービスの導入方法
・訪問看護師がオススメする宅食サービス業者
高齢者が宅食サービスを導入するときに気をつけることと選ぶときのポイント
高齢者が宅食サービスを導入するときに気をつけることは、以下の3点です。
- 高齢者が宅食サービスを導入するときに気をつけること
- ・役割を奪わないこと
・サブスクリプションサービスを理解すること
・塩分や添加物を取り過ぎないこと
役割を奪わないこと
まず、高齢者が宅食サービスを導入するにあたり、「その人の役割を奪っていないか」という点を考えましょう。
高齢者にとって、料理が人生の楽しみになっていることは少なくありません。
「今日は孫に何を作ってあげようかしら」
「夫の好きなハンバーグを作ってあげよう」
料理をすることによって、「誰かのために役に立っている」という感覚が生まれます。
実は、この感覚が人生における生きがいに繋がっている高齢者は大変多いのです。
この点、宅食サービスを導入すると、その人の役割を奪ってしまう可能性があります。
役割を奪われた高齢者は、どんどんと老いのスピードが増加していきます。
料理をすることが誰かの役割になっているのなら、宅食サービスの導入や頻度は慎重になるべきでしょう。
また、料理をするという行程が健康に繋がっている可能性があります。
「料理」と一言で片付けても、料理には複雑な行程がいくつも含まれます。
以下に例を挙げてみましょう。
- 「食材を買いに行く」→歩行練習→足腰の筋力が維持できている
- 「食材を切る」→巧緻性(細かい作業)練習→細かい動作ができるようになる
- 「食材を炒める」→常に火加減を考えなければならない→認知機能を保つことができる
上記はあくまでも一例ですが、料理をするだけで健康に繋がっている可能性が十分にあるのです。
このような人から料理を奪ってしまうと、老いが進行してしまう恐れもあります。
また、「出来ないことだけ宅食サービスにお願いする」という考えも重要です。
例えば、巧緻性が低下していて包丁を使用することが難しい高齢者がいたとしましょう。
火の扱いやご飯を炊く動作は問題なく出来ます。
そのような高齢者は、「ミールキット」の利用をオススメします。
ミールキットの中には、あらかじめ食材がカットされており、後は炒めるだけで料理が完成するというセットがあります。
「役割を残しつつ出来ない部分だけ宅食に頼る」という、理想的な利用方法と言えるでしょう。
選ぶときのポイント!
- その人にとって料理が役割になっているのであれば、宅食サービスの導入・頻度は慎重になろう!
- 出来ない部分だけ宅食サービスに頼ることも重要!
- ミールキットを積極的に利用するのは理想的!
サブスクリプションサービスを理解する
近年、宅食に留まらずサブスクリプションサービスの需要は増加しています。
サブスクリプションサービスとは、「定期購読、継続購入」を意味し、一定期間利用できる権利に対して料金を支払うビジネスモデルを指します。
つまり、一定期間の料金を支払っておけば、定期的にお弁当や食材を届けてくれるシステムです。
いざ実際に宅食サービスを導入するとなると、ほとんどの人がサブスクリプションサービスを利用することになると思います。
毎回注文をする手間が省けるので、高齢者にとってはありがたいシステムと言えるでしょう。
私も、導入するのであればサブスクリプションサービスの利用をオススメしています。
しかし、できるのであれば管理は家族がしてあげる方が望ましいでしょう。
というのも、定期的にお弁当や食材を届けてくれるということは、裏を返せば必要ないときでも届いてしまうということです。
よくあるのが、「食べきれずに捨ててしまう」ということです。
高齢者は1回の食事摂取量は多くありません。
そのため、「今日は半分食べて明日は残りを食べよう」と、お弁当一つを分けていることも少なくありません。
このような高齢者に毎日お弁当が届いてしまったら、食べ切るのも難しいですし、何よりもお金の無駄になってしまいます。
このようなとき、すぐに「これは頻度が多いな。来週から減らしてもらおう。」と行動に移せる高齢者は少ないでしょう。
この点より、管理はできるのであれば家族がするのが望ましいと考えます。
多くの宅食サービスは、「購入者」と「届け先」を分けることができます。
「購入者」は家族にして「届け先」を高齢者宅にしておき、定期的にお弁当は全部食べられているかを聴取しましょう。
- 問題なく食べられている→このペースを維持するか、頻度を増やすかを考慮する
- 残している→頻度を少なくする
また、購入者を家族にしておくことにより、解約がスムーズにできるというメリットもあります。
昨今は消費者契約法により解約がしやすくなったとはいえ、高齢者にとってはハードルが高いかもしれません。
「いらなくなった時はすぐ解約する」
ということもしっかりと頭に入れておきましょう。
選ぶときのポイント!
- サブスクリプションサービスはオススメできるが、頻度や量は慎重になろう!
- 購入者と届け先を別々にしておくと良いかも!
- 解約方法はしっかりと抑えておこう!
塩分や添加物を取り過ぎないこと
以前の宅食サービスといえば「まずい」「同じものばかり」といイメージでした。
しかし、昨今は多くの業者が宅食サービスに参入し、本当にバリエーションが豊富で美味しいものが増えてきました。
一方、カロリーや添加物・塩分が過剰に含まれている宅食も少なくありません。
高齢者にとって過剰な塩分摂取は控えるべきです。
どのくらいの塩分が入っているかをしっかりと把握した上で購入するようにしましょう。
…とはいっても、豊富にある宅食サービス業者の塩分を一つひとつ調べるのはかなりの労力を要します。
この点、分かりやすいポイントとして「管理栄養士」が監修についているかどうかを把握しましょう。
管理栄養士が監修についている宅食は、塩分はもちろんカロリーや栄養素を考慮しています。
高齢者も安心してお弁当を食べられる基準になるので、抑えておくべきポイントです。
選ぶときのポイント!
- 高齢者にとって過剰な塩分摂取は望ましくない!
- 管理栄養士が監修している宅食サービスを選ぶと安心!
訪問看護師がオススメする宅食サービスの導入時期
次に、訪問看護師の私がオススメする宅食サービスの導入時期をお伝えします。
宅食サービスを導入する時期は「危ない!」と感じたら
先ほど、「宅食サービスを導入することでその人の役割を奪ってはいけない」ことをお伝えしました。
しかし、これは安全に料理ができていることが前提です。
買い物の途中に転んでしまったり、火の不始末が頻発して起こるのであれば、役割よりも安全に生活することを優先するべきでしょう。
ポイントは、料理理に関わる行程の中で、「危ない!」と思ったり、「それ危ないよ!」と誰かに指摘された時です。
このような時は、宅食サービスを導入するべきと言えるでしょう。
また、料理をすることがしんどくて翌日まで疲労感が残ってしまう人も、過負荷になっている可能性が高いので、積極的に宅食を利用しましょう。
まずは少ない頻度からスタートする
次に導入頻度についてです。
基本は、「まずは少ない頻度からスタートする」ことを抑えておきましょう。
少ない頻度は増やせば良いだけですが、頻度が多いと食材やお金が無駄になってしまいます。
人によりそれぞれだと思いますが、オススメは週1〜2回からスタートすることです。
週1〜2回宅食を導入することが良い休息となり、より人生に活気が生まれるかもしれません。
もちろん、週1〜2回じゃ少ないな…と感じた人は、ボタン一つ・電話1本で頻度を増やすことも可能です。
「絶対にこの頻度にしなければならない」という決まりはないので、自分のペースにあった頻度を模索していきましょう。
訪問看護師がオススメする宅食サービス業者
高齢者が宅食サービスを選ぶにあたっては、味・コスパ・ボリューム・制限食の有無など様々な要素を考えなければなりません。
詳しくはこちらの記事(訪問看護師が厳選!高齢者にオススメの宅食サービスと頼むときの注意点まとめ)で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
訪問看護師の私が思う、高齢者にオススメの宅食サービスは「ワタミの宅食」です。
世間では「ひどい」という声も聞きますが、さすが飲食チェーンを展開しているだけあって万人が受ける味付けの良さがあります。
また、1食あたりの料金が390円〜とコスパに優れているのも嬉しいポイントです。
写真・動画多数でレビューしているので、ぜひ参考にしてみてください!
私が訪問している患者さんも利用していますが、大変好評ですよ♪
写真・動画多数でレビュー!登録方法&解約方法も
高齢者が宅食を導入するときに気をつけることと選ぶときのポイントまとめ
- 高齢者が宅食サービスを導入するときに気をつけること
- ・役割を奪わないこと→ミールキットの利用はオススメ!
・サブスクリプションサービスを理解すること→購入者と届け先を分けておくと良い!
・塩分や添加物を取り過ぎないこと→管理栄養士が監修していると安心!
まずは少ない頻度から利用してみて、生活がどのように変わったかを把握するようにしましょう。
料理をしなくなったことで生活に活気がなくなったら、宅食は逆効果かもしれません。
一方、「定期的な休息になった」「安全に生活することができるようになった」という人は、徐々に頻度を増回しても良いでしょう。